PAYMENT RISK LAB ── 止まる決済の記録と、止まらない決済の一次情報

決済が止まった日に、最初にやる 3 つ ── 2026年10月21日の国内 EC の決済停止から

2026年10月21日の夕方、国内の複数の EC サイトで、PayPay やクレジットカードの決済が相次いで止まりました。当観測所は、店の告知を写せた 8 店を記録 PRL-2026-017 にまとめています。8 店のうち 7 店は、翌日までに再開を告知しました。

ただ、翌日に戻るとは限りません。当観測所の記録の、日本の事業者の止める・絞る告知 28 件では、元に戻ったのは 7 件で、15 件は10月16日時点で継続中でした(記事「決済を止める告知は、理由をどう書いているか」)。止まった日には、それが 1 日で終わるのか、1 年続くのかは分かりません。

だから、止まった日にやることは、長引いた時に効くことにしておきます。この時の告知と当観測所の記録から 3 つにまとめました。決済を受けている EC・サービスの事業者に向けて書いています。

1 確かめる 何が・いつから・どこまで止まったか 連絡が来ているか 2 伝える 使えない手段・いつから 代わりに使える手段 3 残す 聞いた日時・聞いた相手 相手の答え 当観測所の記録の、日本の事業者の 止める・絞る告知 28 件のうち、 戻ったのは 7 件(2026年10月16日時点)
図1 ── 止まった日にやる 3 つの流れ。28 件の数は、下の表1 のとおり

止まった決済は、どれくらい戻っているか

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告知の書き方件数戻った(解除済み)一部だけ戻った止まったまま
日本の事業者の止める・絞る告知(理由の書き方 5 つの型の合計)
28
7
6
15

表1 ── 当観測所の記録の、日本の事業者の止める・絞る告知 28 件のその後。2026年10月16日時点の記録の値。数え方は記事「決済を止める告知は、理由をどう書いているか」の「この集計について」

戻った道が記録で分かるものも、多くは元の形ではありません。当観測所の記録(海外を含む)で、止まった後の道(立ち直った方法)を書けた 9 件のうち、同じ業者のまま再開したと記録しているのは 1 件でした。残りの 8 件は、業者を変えた(3 件)、海外の法人を通した(3 件)、決済の手段を変えた(2 件)です。

10月21日に何が起きたか

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項目告知に書かれていたこと(8 店)
止まった手段
PayPay 6 店・楽天ペイ 2 店・クレジットカード 1 店・au PAY 1 店・コンビニ決済 1 店。「一部決済サービス」とだけ書いた店が 2 店
いつから
10月21日 18時頃または 18時が 3 店・18時頃と 18時52分頃の両方を書いた店が 1 店・18時30分が 2 店・時刻の記載なしが 2 店
決済代行の名前
決済代行の名前を書いた店が 2 店(SBPS・SBペイメントサービス)。残りは「決済サービス提供会社」などの書き方か、相手に触れていない
再開
10月21日〜22日に再開を告知した店が 7 店。1 店は 10月23日夕方の時点で再開の告知がない

表2 ── 2026年10月21日の停止の告知(当観測所が写した分)。1 つの店が複数の手段を止めているので、手段の数の合計は店の数と合わない。10月23日時点

SBペイメントサービス・PayPay・Shopify・KOMOJU の公式ページに、この停止の告知は見つかっていません。当観測所が確かめた範囲では、止めた側の告知で理由を確かめられるものはありませんでした(10月23日時点)。

1. 確かめる ── 何が・いつから・どこまで止まったか

最初にやるのは、自分の店で何が止まったかを、手段ごとに確かめることです。

この時の告知は、店によって止まった手段が違いました。PayPay だけの店もあれば、カードと PayPay の両方の店もありました。同じ日に起きたことでも、自分の店に何が起きたかは、自分の決済の管理画面と、決済代行からの連絡で確かめます。

確かめることは 4 つです。

  • 止まった手段とブランド(PayPay・カードなら Visa・Mastercard・JCB・Amex など、どれか)
  • いつから止まったか(管理画面で最後に通った決済の時刻)
  • 新しい注文だけか、定期の課金・返金・入金(売上の振り込み)も止まっているか
  • 決済代行から連絡が来ているか(メール・管理画面のお知らせ)

4 つ目の入金は見落としやすい点です。決済が止まっても、それまでの売上の入金が予定どおり来るかは別の話です。

2. 伝える ── 理由が書けなくても、書けることがある

次に、お客さんへの告知を出します。

当観測所が日本の事業者の止める・絞る告知 28 件を数えた時、理由を書いていない告知が 9 件、ぼかした言葉で書いた告知が 5 件ありました。10月21日の告知は、8 店のうち 6 店が決済代行の名前を書いていませんでした。

理由が分からなくても、お客さんが動くために要ることは書けます。使えなくなった手段、いつから、代わりに使える手段の 3 つです。

告知の文例(そのまま使えます。[ ]の中を自分の店に合わせて書き換えます):

[10月21日 18時]より、[PayPay・クレジットカードの Visa]でのお支払いが、一時的にご利用いただけなくなっております。
[銀行振込・代金引換・クレジットカードの JCB]は、これまでどおりご利用いただけます。
再開の見込みは、分かり次第このページでお知らせします。ご不便をおかけし申し訳ございません。

再開した時は、新しい告知を出すのではなく、同じ告知に「[10月22日 17時]に再開しました」と追記します。お客さんは 1 か所を見れば済み、止まっていた期間も 1 つのページに残ります。10月21日の告知の中にも、止まった時刻と再開した時刻を同じ告知に書いた店が 5 店ありました。

3. 残す ── 止めた相手に聞き、やり取りを残す

3 つ目は、決済代行など止めた相手に聞くことです。聞いた日時と、相手の答えをそのまま残します。

聞くこと(メールなど、文字で残る形で聞きます):

  1. 止まったのは、どの手段・どのブランドか
  2. 止めたのは誰の判断か(決済代行・カード会社・PayPay などの決済サービス・その他)
  3. 理由は何か。店の側で直せることはあるか
  4. 再開の見込みはあるか。いつ分かるか
  5. 止まる前の売上の入金は、予定どおりか

答えが返ってこなくても、「いつ・誰に・何を聞いたか」は残ります。

告知の言葉からは、止まる長さは読めません。当観測所の記録には、「システム障害」と書かれた Visa の停止が 386 日続いた例があります(PRL-2025-019・PRL-2026-015)。長引いた時に、別の決済代行に申し込んだり、取引先や金融機関に説明したりする場面で、止まった日の記録が使えます。

まとめ

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3 つやることと、書くこと・聞くこと
1. 確かめる
やること:管理画面と決済代行の連絡で確かめる
書くこと・聞くこと:手段とブランド/いつから/新しい注文・定期課金・返金・入金のどれが止まったか/連絡の有無
2. 伝える
やること:お客さんへの告知を出し、同じ告知に追記していく
書くこと・聞くこと:使えない手段/いつから/代わりに使える手段
3. 残す
やること:止めた相手に文字で聞き、答えを残す
書くこと・聞くこと:手段・判断した相手・理由・再開の見込み・入金

表3 ── 決済が止まった日にやる 3 つ

所長より

私はこう考える。

10月21日の停止は、告知を写せた 8 店のうち 7 店が、翌日までに再開を告知しました。それは翌日になって分かったことです。店が動かせるのは、確かめること・伝えること・残すことの 3 つです。

記録で道が分かる 9 件のうち 8 件は、元と同じ形ではなく、ほかの道を通っています。ほかの道を探す時、止まった日に残した記録が使えます。

この記事について

  • 10月21日の停止の数は、当観測所が告知を写せた 8 店の分です。告知を見つけたが写せなかった店が 2 店あります(ページが開けなかった・取得を断られた)。ほかの店は探しきれていません。告知の写しは記録 PRL-2026-017 の出典にあります。
  • 28 件の数え方は、記事「決済を止める告知は、理由をどう書いているか」の「この集計について」にあります。
  • 「止まった後の道」は、当観測所の記録の recovery_path(立ち直った方法)の欄です。全 65 件のうち、この欄が埋まっているのは 13 件で、そのうち「不明」を除いた 9 件を数えました(2026年10月23日時点・他の記録に統合した 1 件は数えていません)。
  • 告知の文例と聞くことの一覧は、当観測所が記録の告知を読んで作ったもので、特定の店の告知の写しではありません。