観測所がURLだけを信じない理由——魚拓と一次ソースの話
当観測所のトラッカーには、一次ソースのURLと並んで「魚拓」(アーカイブ)の欄があります。なぜURLだけでは足りないのか。実際の観測で確認した事例から説明します。
URLは、同じ場所を指し続けるとは限りません。2024年12月のアエルネの決済停止・撤回(PRL-2024-011・PRL-2024-012)では、一次ソースがX上の告知でした。その後、当該アカウントは削除され、同じハンドル名が第三者に再取得されたことを当観測所は確認しています。つまり、記録に残したURLが、いつの間にか別人の投稿を指すようになる。URLの保存は、内容の保存ではありません。
アーカイブサービスにも向き不向きがあります。X のようにJavaScriptで本文を描画するページは、Web Archive(Wayback Machine)に保存しても、本文のない「殻」だけが残ることがあります。保存した時点では安心していても、開くと中身がない。このため当観測所は、SNSが一次ソースの場合、レンダリング結果が残る手段——archive.today系、またはスクリーンショット——で保全することをルールにしています。
ソースの種類ごとの保全手段は次のとおりです。
| ソースの種類 | 保全手段 |
|---|---|
| 通常のWebページ(公式お知らせ等) | Web Archive等のアーカイブサービス |
| SNS投稿(X等・JS描画) | archive.today系、またはスクリーンショット |
| 年齢確認ゲート内の告知 | 機械アーカイブ不可のため、ゲート通過の上で本文テキストとスクリーンショットを取得し、観測所内部で保管(レコードの記録欄に保管の旨を明記) |
「一次ソース整備中」というラベルについて。トラッカーの一部レコードには、このラベルが付いています。当観測所は日本の事象(T1)について一次ソースの収蔵を義務としており、報道で事実確認済みでも、一次ソースと魚拓が揃うまでは「整備中」と明示します。揃っているふりをしない——これは、間違えたら訂正を公開するのと同じ原則です。記録の価値は、誰でも検証できることにあります。
データはCC BY 4.0で配布しています。引用の際、リンク先が消えていたら魚拓の方をご覧ください。そのための魚拓です。