PAYMENT RISK LAB ── 金融検閲・決済リスクの定点観測
観測

「戻った」10件の記録——解除・撤回はどう起きたか

2026年8月22日 文: 決済リスク観測所

※2026-08-28訂正あり(10件→13件)。詳細は末尾

決済停止のニュースは広く報じられますが、その後「戻った」事例が体系的に記録されることはほとんどありません。当観測所のトラッカーで状態が「解除済み」または「一部解除」となっている10件を集計します。

ID 対象 経過の要旨
PRL-2021-001 OnlyFans 実施前の撤回 2021年8月、方針発表後に撤回。実施に至らず
PRL-2024-011/012 アエルネ 実施前の撤回 停止通告の2日後に「決済継続可」の連絡。理由は停止・撤回とも非開示
PRL-2026-003 Fantia 施行前の差し戻し 2026年5月19日告知→25日施行予定→29日差し戻し。同一告知ページに追記で履歴化
PRL-2022-002 DMM英会話 部分再開 2022年11月24日にMastercard再開。既存登録者のみ継続可の中間段階を経た
PRL-2024-003/2025-001 ニコニコ 部分再開 Visaは2025年2月に再開。一部Mastercardは再開未定のまま自動解約、Amexは再開見込みなしと告知
PRL-2020-001 Pornhub 部分再開 2020年12月のVisa/Mastercard停止後、部分的に再開(経緯の詳細は裏取り中)
PRL-2025-004 Itch.io 一部解除 2025年7月の制限強化後、一部解除(経緯の詳細は裏取り中)
PRL-2022-003 FC2 実査による確認 2022年7月の停止後、再開の告知は確認されていない。2026年8月17日、当観測所の実査でクレジットカード決済の提供とMastercardでの決済成立を確認(他ブランドは未確認)

この10件から、事実として言えることを3点記録します。

第一に、「戻った」10件のうち3件は、実施前の撤回・差し戻しです。 OnlyFans・アエルネ・Fantiaの3事例は、停止や制限が実施される前に方針が覆っています。サービス自体がゼロから全面再開した事例が1件加わりました(マンガ図書館Z・2025年4月・PRL-2025-010)。ただし再開後もVisa/Mastercardは不在で、停止されたカード決済がゼロから全面回復した事例は引き続き確認していません。

第二に、実施後の回復は部分再開の形をとっています。 ニコニコはVisaが再開した一方、一部Mastercardは再開されないまま自動解約となり、Amexは再開見込みなしと告知されました。DMM英会話の再開もMastercardのみです。「戻る」ときも、ブランドや対象範囲によって非対称に戻ります。

第三に、「戻る」は告知されるとは限りません。 アエルネは停止の理由も撤回の理由も公表されていません。FC2に至っては、再開の告知自体が確認されておらず、決済が使える状態にあることは当観測所の実査で初めて記録されました。停止が静かに始まるのと同じように、回復も静かに起きることがあります。

なお、この10件は当観測所の収録データの範囲での記録であり、解除・再開事例の網羅的な統計ではありません。各レコードの一次ソースと経過はトラッカーで確認できます。

【訂正・増補】(2026-08-28)本記事公開時の集計「10件」に誤りがありました。誤: 10件/正: 13件。PRL-2024-007(マンガ図書館Z・一部解除)・PRL-2024-008(同・解除済み)の状態訂正と、再開レコードPRL-2025-010の新設を遡及反映したものです。あわせて「実施後にゼロから全面再開した事例はない」の記述を上記のとおり改めました。経緯は各レコードのnotesに記録しています。

https://paymentrisklab.com/tracker/

業種を 1 つ選ぶと、その業種の停止・再開の記録をメールで受け取れます(無料)
本記事の正典URLはこのページです。データの引用はCC BY 4.0(出典: 決済リスク観測所)。誤りの指摘は情報提供窓口へ。